今は小学生の通信教育もタブレットと紙教材が選べる時代。
実際のところどっちがいいんだろう…?
従来型の紙の方が安心か、はたまたタブレットの方が取り組みやすくていいのか。
最初にお伝えしたいのが、
✅家でどーーしても、机に向かってくれない。
✅宿題さえも危うい状況。
そんな時、タブレット学習はオススメです。
しかし今回の記事でお伝えする内容はそれだけではありません。
実際に私の身の回りでタブレット学習をやってみた結果は、意外なものでした。
今回はその時の様子も含めて、小学生の通信教育はタブレットと紙教材どっちにすべき?について解説。
低学年と高学年に分けてお伝えしていきます。
小学生向けの通信教育、タブレットと紙教材どっちにすべき?
では早速結論です。
小学生向けの通信教育をタブレットと紙教材のどっちにすべきかについては、
- 低学年:紙教材がおすすめ
- 高学年:必ずお試しをしてから、好みで選択する
高学年はどっちつかずで申し訳ありません💦
ですが高学年はどちらか一択ではなく、「お試し」こそ大切と考えています。
えー!今どき紙教材を勧めるなんて時代に合ってなくね?
そう思われても仕方ないかもしれません。
ですが小学校低学年はつい最近まで幼児だったわけです(大げさ?)。
まだ勉強すること自体始めたばかりで、習ったことを「自分に定着させる」というプロセスを自分で意識するのが難しいのではないでしょうか。
タブレットだとあまりにもスムーズに進みすぎて、「自分に落とし込めない」「定着が浅くなってしまう」ことが懸念されます。
その点、昔ながらの(!)紙教材なら自分で読み進めないと先に進まないですし、手を動かして書く作業も多いため理解が定着しやすいです。
ところで、この記事をご覧になっているあなたはもっと専門的な見地からの意見も知りたいですよね。
ですが、家庭学習でのタブレット学習がもたらす影響については、まだまだこれからの研究が求められている分野。
ですからまだ現時点では、未知数な部分も多いようです。
次からはいくつか研究論文を取り上げてみます。
論文から探る小学生のタブレット教育の影響
タブレット教育についてのこれまでの研究論文をあたってみたところ、「集団授業での」タブレット利用をテーマにしているものが多いです。
上記の論文では「自分一人の学び」と「グループワークでの学び」を横断しやすくなるタブレット学習システムで、教育の効果が高まるとしています。
理科の実証授業で示されたタブレットの有用性
こちらも集団授業での研究論文となります。
「小中学校におけるタブレットPCの学習者の行動に与える影響」
横山隆光・加藤直樹・日比光治・興戸律子・山崎宣次・及川浩和
この研究では小学校・中学校での「実証授業」を3回にわたって実施。
ここでは小学生(5,6年生)を対象として行われた第2回の実証授業を取り上げてみます。
第2回実証授業では、タブレットPCの活用が子ども達の思考力に影響を及ぼすかをみるため「論述問題」を出しています。結果はこちら。
色付けした部分で特に「タブレットPCあり」の方が正答率が高くなるという結果に。
この結果について論文では、
- 5年生は隣の児童のタブレットPCをのぞき込んで、見つけた事実や考えたことについて「話し合う」行動が増えたことで、考えを確かめることができ、より正確な考察が記述できた。
- 6年生はタブレットPCのカメラを使ってヨウ素デンプン反応を撮影したため、日光を当てた部分・当てなかった部分を比較する実験の意味や方法について自然に「話し合い」が行われたため有意差があった。
とみています。
このように集団授業においてタブレット教育は有効という結果が出ています。
ですがそれは「個々がタブレットを見つめて学んでいる」からではありません。
「周囲との話し合いが活性化する」から、ということなのです!
アメリカの論文から
続いてはアメリカの論文をまとめた、こちらの記事をお借りして解説します。
ベネッセ教育総合研究所
【識者インタビュー】デジタル家庭学習の最先端 ~世界の論文調査から~
こちらの記事では東京大学大学院の山内准教授が、アメリカの論文を中心に「デジタル教材を利用した家庭学習」について調査して下さっています。
その調査まとめの中で、小学生に絞って気になった点について挙げてみました。
- デジタルデザインのプログラムは、子どもが試行錯誤を繰り返し創造性を身につけることを促す
- 一般家庭学習におけるデジタル機器の利用実態と課題について研究が必要である。
何回でも「試行錯誤」できるという点は、確かにデジタルの良さですよね。
違うと思ったらサッと消すことができますから、失敗を恐れずに何回でもやり直せるというのは大きなメリットでしょう。
「1つ前に戻る」なんていうのもあったりしますし、私もよく使います。
ただし、上記2つ目の通り「一般家庭学習におけるデジタル機器」については、まだ研究が不足しているというのが現状なのです。
もう1点、調査まとめの中にはこのような記述も。
- 乳幼児のメディア利用については、肥満、睡眠、行動、注意力、社会性、言語発達などの健康面での問題が多く指摘されている
就学前の乳幼児についてはかなり多くの問題が指摘されていることが分かります。
ということは、そこから小学校に上がりたての低学年においても、何らかの問題を含む可能性はあるのではないでしょうか。
以上をまとめると、
ということで、小学低学年ではまだ紙教材の方がいいのでは?
というのが私の考えです。
それに、実際に体験してみてそう感じたから、というのもあります。
実際の体験については後ほどお伝えします。
タブレット教材のメリットとデメリット
とはいえタブレット教材、気になりますよね。
ここからは、タブレット教材と紙教材のメリット・デメリットについてご紹介。
一般にネット上からの情報と、通信教育各社からの情報をもとにまとめました。
そしてデメリットについては正直あまり見当たらないのですが、強いていうなら
この位でしょうか。
保護者メールは子どもの学習状況を知らせてくれますが、「やった事実」や「集計データ」だけでは、子どもの本当の理解度までは分かりづらい部分があります。
とはいえやはりタブレット教材は利便性が高く、両親共働きで忙しい家庭のニーズにぴったりなのですよね。
紙教材のメリットとデメリット
一方、紙教材の方にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
タブレットでもペンの書き心地にこだわったものも出ていますが、傾向でいうとやはり「選択」→「○×」問題が多め。
もちろん紙教材でも選択問題はありますが、穴埋め・記述・自由作文など書き放題。
「字を書く」動作量としてはやはり紙教材の方が多いため、記述や作文力アップにつながるのではないでしょうか。
また紙教材は自分で読み進めないと一歩も先には進めないため、自分で理解しようとする力がつくと考えられます。
これが学習習慣づくりにつまずいている子どもにはネックとなるのも事実ですが。。
では紙教材のデメリットはどうでしょう。
先ほど紙教材のメリットに挙げた「親が進み具合を把握しやすい」とデメリットの「丸つけする必要あり」は表裏一体。
手間はかかるが子供の理解度を把握しやすい、これが紙教材です。
実際にタブレットのお試し教材をやってみた
実は私もタブレット教材には興味津々。
息子が小3になるタイミングで、某タブレット教材のお試しをしたことがあります。
*タブレットのお試し教材に挑戦!*
- 理科の「太陽とかげの動き」に挑戦!
- 太陽が動く様子、影の動きが動画で分かりやすい
- しっかり読み上げながらスムーズに進めることができた
そもそも理科は実験や観察で学ぶ科目なので、動画があると便利!
動画の便利さについてはヒシヒシと実感しました。
動きが分かりやすいし、しっかり音読しながらページを進む。
スムーズに学習できて何の問題もない、ように見えました。
しかし…実際のところは驚きの結果が!!
最後の確認テスト(小テスト)で、今回の内容が全く答えられないことが判明。。
分かったように見えたものの、定着していないというか。
とにかく答えられないのです。「…は?」みたいな。
「え?そうだっけ?」というキョトンとした感じです。
正直これは面白いと思いましたね。
親切にも動画やアナウンスで教えてくれるから、逆に頭を使うことなくスルーしてしまったということなのでしょうか。
もちろん全ての子どもにこうした現象が起きるわけではないでしょう。
我が家でも単に不慣れなことをした結果に過ぎないかもしれません。
念の為に補足しておくと、我が子はデジタルデバイスには慣れています。
ゲームは大好き、スマホもタブレットも抵抗なく使いこなすイマドキの子。
ですが子ども本人も、「これからも紙教材の方がいい」と言いました。
それで、引き続き紙教材でお世話になっている次第です。
小学1年生でタブレット教材を実際にやっていた友達の例
もう1つのサンプルとして、近所のお友達の例をご紹介します。
我が子と同級生の彼女は、小1から某最大手通信教育のタブレットを愛用。
私もタブレットは気になっていたので早速ヒアリングさせてもらいました。
ママ友さんに伺った内容はこちら。
- タッチでどんどん進める!らしい
- 子ども本人に抵抗はない
- やってはいる、でもちゃんとやってる?様子が見えづらい
- ライブラリーの本を読めるのはいい
このような意見を伺うことができました。
タブレット教材は学習習慣づけのハードルを下げることにかけてはピカイチ。
全然抵抗なく、学習できているようでした。
と同時に、ママさんの方は「ちゃんとやってる?」と悩みもあったようです。
そして、それから数ヶ月経過…衝撃の結果が!(←大げさ)
結局、彼女は小1の途中で公文に切り替えていました。
膨大な紙の教材をこなすという、ある意味タブレットとは真逆の学習法に大きく舵を切ったのです。
どうやら学校でのテスト結果や教育相談(面談)を経て、成績が思わしくないことに危機感を覚えたようです。
―――もちろん、あくまでも1つのサンプルです。
他にもタブレット学習をやっているコはいます。
「やったり、やらなかったりかなー」とママさんは言っていました。
タブレットは「家で勉強をしない、とにかく勉強する習慣をつけたい」というご家庭にはぴったりです。
ですが、「今後の伸びしろ」とか「理解の定着度合い」を考えた場合、低学年のうちから家庭学習をタブレットにお任せするのは…疑問が残ります。
小学高学年はお試しをして見極めよう
ところで高学年はどう?本人の好み次第?
冒頭で高学年については「必ずお試しをしてから、好みで選択する」と書きました。
そもそも私はタブレット否定派、というわけではありません。
前述の論文でもタブレットの有効性が示唆されていますし、我が子も学校でクロームブックを取り入れた授業を受けています。
こうしたタブレットの普及を阻止したいわけではありません。
特に小学高学年以降になれば、タブレットも活用次第ではとても有用な家庭学習ツールになり得るのではないかと考えています。
「活用次第では」という条件つきではありますが。
小学生も高学年になると、ある程度「勉強」そのものに慣れてくる頃でしょう。
「ここは大事だな、覚えなきゃ」と思えば、自分の中で理解を定着させようと頭を使うことができてくる頃ではないでしょうか。
例えば、タブレット教材に出てきた問題をミスした場合。
もう一度同じ問題が出てきた時に、
- 低学年:「あ、これ1番で間違えたんだよな、じゃあ2番」でやり過ごす。
- 高学年:「1番で間違えたけど実はこうだった、だから2番」と学ぶ。
このように、単に「ゲーム感覚」でやり過ごすのではなく、ちゃんと「学習感覚」でタブレットを活用できるようになれば言うことなしです。
ノートを併用してまとめたり、自分なりのスタイルが出来てくるといいですよね。
ただし前述の調査結果にもある通り、「一般家庭学習におけるデジタル機器の利用実態と課題について研究が必要である。」と言われていることも事実。
それに向き不向きもありますから、しっかりとお試しをしてから選択されることをオススメします。
念の為小テストなどで理解度まで測定してみるといいかもしれませんね。
まとめ
今回は小学生の通信教育について、タブレットと紙のどっちがいいか?を低学年と高学年に分けて解説してきました。
- 低学年:紙教材がおすすめ
- 高学年:必ずお試しをしてから、好みで選択する
以上が今回のまとめになります。
イマドキ急速に普及しつつあるタブレットに対し、低学年では紙教材をおすすめとしたため理由をしっかりと解説させていただきました。
小学高学年以降は、正直その子その子の取りくみ方次第でどちらもアリかなと考えています。
学習で大事なのは「自分の中に理解を定着させること」。
そのためにどんな学習法が自分に合っているのか、いろいろお試しをしてみるといいですね。