中学受験を考えた時、ファーストステップとなるのが塾選び。
うちの周りにも個別指導とか集団塾とかいろいろ。みんな何を決め手に選んでる?
塾選びは意外とママ友さんにもオープンに相談しづらかったりするもの。
実際のところ、お友達が選んだところが我が子にとってもベストとは限りません。
現在の学力や目標レベル、家庭の事情などもふまえて考えていかなければならないためです。
そこで今回のトピックスは、中学受験の塾選び。
なお、本記事は2021年11月5日付日本経済新聞「中学受験特集」を参考にまとめさせていただきました。
同特集では、安田教育研究所代表 安田理氏の見解が述べられていますので、所々引用させていただきながら解説していきます。
中学受験の塾選びの前にすべきたった1つのこと
中学受験の塾選びを始める前に、まずすべきたった1つのことをお話しします。
これは絶対に外せない重要ポイントとなりますので、是非押さえておいて下さい。
それはずばり、
お子さん本人の意思確認 です。
つまり「自分は中学受験をするんだ」という自覚をお子さん本人が持つことがとても大切なのです。
入塾時期に関係なく、『中学受験をする理由』『目標とする中高一貫校』を親子でしっかりと確認しておく必要があります。
(引用:日経新聞―安田氏コメント)
なぜ本人の意思確認が大切なのか。
それは次のような理由からです。
中学受験はあくまでも、子どもが自分自身のためにするものです。
親に言われるまま、大変な思いをして学習に励んだのに、いざ入学した学校が楽しくなかった場合、子どもは『自分の人生を返してくれ』と親に訴えたくなるでしょう。
中学受験に挑戦する、塾に通うと決めたら、親子ともに覚悟が必要です。
(引用:日経新聞―安田氏コメント)
親がそう言うから、その方がいいからと言われて何となくつき進んでいくと、どこかで無理が出てしまうというわけですね。
実際に私の周りでも「せっかく頑張って私立中学に入ったのに、もう行きたくなくなって学校に行けていない」といった話を聞くことがあります。
結果論かもしれませんが、こうなってしまうと本当にもったいないと感じます。。
長い目で見てお子さんが本当に前向きに進んでいけるよう、まずは親子でよく話し合っておきたいものです。
「早めに入塾」する方法も
一般に、中学受験を見据えた入塾時期というのは、新小4のカリキュラムが始まる「小学3年生の2月から」が多いです。
一方、多くの進学塾では小学低学年向けコースも開講しており、早いうちから入塾するケースも。
小学低学年向けコースでは、週1〜2回の通塾がスタンダード。
そこまで負担にならず「学び」の楽しさや探究心を育んでいくことができます。
この時期に入塾するメリットは、
- 家庭学習の習慣が身につく
- 自然な形で中学受験モードに移行できる
ことが挙げられます。
学年が上がるにつれて自然に中学受験の環境に身を置くことになりますし、一緒に頑張るお友達に刺激を受け「私も!」とやる気を出してくれるかもしれません。
このように、塾で学ぶということに抵抗のない子なら、早めに入塾しておくというのも1つの選択肢です。
とはいえ、入塾したものの途中で「やめたい」というお子さんの意思が出てきた時は、あまり無理強いしないようにしましょう。
こちらの記事では中学受験の全体スケジュールについて、小学低学年も含めて解説しています。
中学受験の塾選びのポイント
中学受験への意思確認ができたところで、具体的な塾選びに入っていきます。
中学受験の塾選びのポイントは次のとおり。
- 指導方針とレベルで選ぶ
- 個別か集団かで選ぶ
- 面倒見の良さで選ぶ
- 費用で選ぶ
これらを順番に解説します。
指導方針とレベルで選ぶ
まず第一に考えたいのが、塾の指導方針やターゲット校のレベル。
御三家と呼ばれる名門校をはじめとした難関校を目指すなら、塾の指導方針として難関校を目指しており、実績も豊富な大手進学塾がおすすめ。
こうした大手の進学塾では綿密な入試分析を行い、豊富なデータから難関校合格をバックアップ。
やはり人気の中学となると相当偏差値が高いため、合格を勝ち取るには相応の対策ができる進学塾でないと厳しいのが現状です。
そのほか塾の形態としては、
- 中小規模の塾
- 個人塾
- 個別指導塾
などに分かれます。
それぞれ少人数指導や地元の中学受験特化型など、独自の指導方針をもって差別化を図っていますので、まずはしっかり情報収集してみましょう。
個別か集団かで選ぶ
前項の「難関校を目指す大手進学塾」となると、それらのほとんどは集団塾となります。
代表的なところではSAPIXや日能研など。
ですが一昔前と比べると、個別指導塾も街に増えてきている印象がありますね。
個別にすべきか集団にすべきか迷ってしまう、という方は多いのではないでしょうか。
ここでは集団塾と個別指導塾のメリット・デメリットをまとめました。
✅集団塾のメリット
- 競争心から意欲を引き出せる
- 中学受験特有のカリキュラムで学べる
(つるかめ算・流水算など)
✅集団塾のデメリット
- 塾になじめない子も出てくる
- 下位クラスには力を入れてくれないことも
集団塾は中学受験のノウハウを豊富に持っているところが多く、難関校を目指すならやはり集団塾がおすすめ。
ですが授業の方はあくまで決まったカリキュラムをこなしていく形となります。
そのため「もっと早く進みたい」、あるいは逆に「ここは苦手だからじっくりやりたい」といった要望には対応しづらい面があります。
✅個別指導塾のメリット
- 個々のニーズに合わせた指導ができる
- 「新しい入試」に対応しやすい
✅個別指導塾のデメリット
- 費用がかさむ
- 講師の質にムラがある
(大学生アルバイトも)
1人1人のレベルに合わせてマンツーマンで向き合ってくれる個別指導は、効率的に基礎学力を伸ばしたいご家庭におすすめ。
中学受験の中でも「基礎力重視」の入試を行うところもありますので、個別指導で着実に力をつけて入試に挑むというのもアリでしょう。
そして個別指導で注目なのが「新しい入試」に対応しやすいこと。
こうした新しい入試にチャレンジする場合は、当然ながら特別な対策が必要となります。
過去問をベースにご家庭で対策をされるケースもあるようですが、個別指導塾で相談してみるのも1つの方法です。
個別指導なら英語や国語に集中して添削してもらったり、作文の練習をしたりと、集団塾よりも断然フレキシブルに対応しやすいのが強みです。
うちはどっちを選べばいいんだろう?
ここまでの内容をふまえ、結局どちらを選ぶべきか迷われた場合は、まずは中学受験向けの進学塾(集団塾)を検討されるのがおすすめ。
なぜなら、こうした進学塾ではやはり受験対策のノウハウが充実しているためです。
中学受験を目指すなら、一番の王道といって過言ではないでしょう。
とはいえ、やはり進学塾にも上記のようなデメリットがあることも事実。
「うちには合わないかも…?」そんな時には個別指導塾、あるいは別の指導方針を持つ集団塾などを検討してみてはいかがでしょうか。
面倒見の良さで選ぶ
塾の中には「面倒見の良さ」を売りにしているところもあります。
共働きであったり下の子に手がかかったり、さまざまな事情であまり勉強を見てあげられない。
そんなご家庭は面倒見の良さが重要ポイントとなってきます。
この2つで考えたら、シンプルに前者の方が家庭での負担が少なく助かりますよね。
親が日常的にあまり関われないのであれば、前者の方がおすすめということになります。
ただし「面倒見の良い塾」にするかどうかはお子さんの性格にもよります。
お子さんがある程度自立していて勉強にも意欲的なタイプなら、あえて「面倒見の良さ」は考慮しなくても良いかもしれません。
ところが親がそばについていないと進まないタイプだと、どうしても親の負担が重くなりがち。
もちろん親が学習に付き添う時間を確保できそうなら問題はありませんが、難しい場合はやはり「面倒見の良い塾」を検討された方がベターです。
費用で選ぶ
塾でかかる費用についても事前にある程度調べて、考慮しておく方がベターです。
まず集団VS個別で考えたら、仮に同じ時間数とするならば個別の方が割高となります。
ちなみに家庭教師となると個別よりもさらに割高になる、というのが基本の考え方です。
集団塾と個別指導塾のどちらかに絞って考えた場合でも、当然ながら塾によって多少の違いが出てきます。
ある程度候補とする塾を絞ることができたら、あとは費用面を比較して最終決定されるのも良いかもしれません。
そして特に注意したいのが、小学5・6年生と高学年になった時の費用。
4年生の1年間は「ああ、この位ね」で済んでいたものが、5年生・6年生と上がるにつれて年間総額も大きく跳ね上がることに…!
ここではSAPIXと日能研を例にとって、6年生の年間費用をご紹介します。
SAPIX | 日能研 |
約130万円 | 約120万円 |
大手進学塾の年間費用、なかなか大きいですね💦
その中でも日能研は比較的リーズナブルな傾向があるようです。
高学年になってから思わぬ出費で慌てることのないよう、入塾の際はあらかじめ小学5・6年生での授業料・特別講習・テスト・教材費など、実際にかかる年間総額を確認しておきましょう。
入塾前にはお試し体験を
どこの塾にするかおおむね決まってきたところで、今度は親子で実際に足を運んでみましょう。
塾によっては授業のお試し体験ができるため、授業の雰囲気を掴むのに役立ちます。
いきなりの授業で難しく感じることもあるかもしれませんが、それは当たり前のことですから気にしなくてOK。
お試し体験を受け付けていない塾の場合でも、入塾テストや申し込み相談の際に、全体的な見学をさせてもらうことはできるはず。
先生と生徒の関係を観察しながら、雰囲気が良いかどうか、明るく活気があるかどうかをチェックします。
教材を手に取って、学習の進め方をイメージしてみるのもいいですね。
子どもの直感も大事
最終決定にあたっては、お子さんの直感も大事。
お子さんはまだ「これが良いのかどうか」判断がつきかねる年齢かもしれませんが、「この塾なら通ってみたい」と思えるかどうかがカギ。
あくまでもこれから通うのはお子さん本人ですから、最終的には本人主体で決めていきたいもの。
逆に子ども不在で決めてしまうと、後でつまずくことにもなりかねませんから要注意です。
通う塾の合格実績もチェック
合格実績については、各塾ともに大きくアピールしていますから、既にたくさん目にされていることでしょう。
ここで気をつけたいのが、「通う塾」の合格実績もチェックすること。
塾の全校合わせた人数ではなく、実際に通う塾の人数も見てみる、ということですね。
例えば沿線の1駅違いで塾が並んでいる場合。
A駅の塾は実績がぼちぼち、B駅の塾の方が規模が大きく実績も豊富となれば、B駅の方に通った方がいいこともあります。
やっぱり合わないかも…そんな時どうする?
通い始めたけど、やっぱり合わないかも…?
塾に実際に通い始めたものの、あまり上手くいっていないようで心配になること、ありますよね。
例えば大手進学塾が王道ということで入ったけれど、下のクラスが続いていて上位クラスに上がれず、自信を無くしてしまうことも。
自信が持てないと、学力も伸びにくいものです。
(引用:日経新聞―安田氏コメント)
大手塾に入ったものの、モチベーションが上がらない場合は個別指導や個人塾に移り、基礎学力をつけ直したほうがいいという場合もあります。
あまり無理を続けても逆効果になることがありますから、そこはフレキシブルに転塾も考えていく必要がありそうです。
塾に通うことはメリットも大きい!
小学生という時期、今しかできない体験も沢山させてあげたい。
本当に塾に通うことが子どもにとって良い選択なのか…?
このように、塾通いそのものにまだ少し迷いがあるという保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここからは、塾に通うメリットについてお話しします。
家庭学習の習慣がつく
塾で中学受験に向けた勉強をするということは、それとセットで家庭学習の習慣もついていくということです。
いちばんのメリットは家庭学習の習慣がつくこと。中学受験には小学校の教科書の範囲の何倍もの学習が必要なので、身につく知識が格段に増えます。
(引用:日経新聞―安田氏コメント)
学校での内容を超えた、かなり広範囲にわたる学びを得られるのが最大のメリットと言えそう。
例えば、中学受験では時事問題を扱うことも。
もちろん塾でも対策しますが、家庭でこども新聞を読むお子さんも多く、「社会の仕組み」に興味を持つきっかけになります。
また、時事問題に限らずたくさんの質の高い文章に触れていくため、自然と「豊かな読書体験」にもつながっていくでしょう。
高い目標に向け刺激し合える
塾に通うメリットのもう1つは、高い目標を持つ仲間たちと刺激し合えること。
飛び抜けて学力の高い子や、趣味で一芸に秀でている子に出会うと、一気に世界が広がります。心身の成長が著しい時期に充実した学習体験を重ねると、学力以上に“意識”が高まっていくのです。
(引用:日経新聞―安田氏コメント)
良い意味での“意識高い系”ということになるでしょうか。
塾には学校とはまた一味違った子ども達が集まってきますから、そこでまた新たな広がりが生まれるのは嬉しいことですね。
このようにして考えると、周囲との関わりが多い集団塾のメリットも大きいと言えそうです。
まとめ
今回は「中学受験の塾選び」をテーマに解説してきました。
まず塾選びを開始する前に大切にしていただきたいのは、お子さん本人の意思確認。
4年生の頃はまだしも、学年が上がっていくにつれ勉強が忙しくなり、我慢しなければならないことも増えてきます。
その時に目標を持って乗り越えていけるように、受験をする理由を親子でしっかり話し合っておきたいものです。
そして、中学受験の塾選びのポイントを改めて挙げておきます。
合格実績もご覧になっているはずですが、塾全体だけでなく是非「通う塾」の合格実績もチェックするようにしましょう。
最後に決定する時は、子どもの直感も大事。
「やってみようかな…?」と思える塾を選んで、新しい一歩を踏み出してみて下さい。
「もしなじめなかったら、他の塾もあるんだから」
この位の気持ちでいた方が、気負いすぎずに良いのかもしれませんね♪では!
<参考資料>
・日本経済新聞2021年11月5日付「中学受験特集」-塾選びのポイント